傷、やけど、傷痕
傷は外部からの力によって皮膚をはじめとした組織が受けた損傷です。切り傷、擦り傷などの他にも、薬品などで受けた損傷も傷に含まれます。やけどは、損傷が及んでいる深さ、損傷を受けた面積の割合、部位、年齢によって重症度が変わります。傷もやけどもなるべく早期に適切な治療を受けることで、機能や見た目の問題を残さずきれいに治せる可能性が高くなります。肥厚性瘢痕・ケロイド、色素沈着といった傷痕が残ってしまうと、見た目の問題だけでなくかゆみや痛み、動かしにくさなどの症状を起こすことがあります。こうした傷痕の治療も皮膚科で受けることができます。傷ややけどは、顔や手足など皮膚の薄い部分に生じると神経や血管、腱などに損傷が及び、機能にも支障が生じる可能性もあります。軽度の損傷でも皮膚科専門医を受診して損傷の範囲を正確に見極め、適切な治療を受けるようにしてください。傷、やけど、傷痕の治療は状態によって様々な方法があります。傷ややけどの場合は特に速やかな受診による適切な処置で予後が変わります。
おでき(粉瘤など)
粉瘤や脂肪腫は、皮膚に生じることが多い良性腫瘍です。粉瘤は皮膚の浅い部分にできて触れると硬いしこりとして感じられます。脂肪腫は粉瘤よりもやや深い場所にでき、やわらかいしこりとして感じられます。サイズが大きい脂肪腫は神経を圧迫して痛みを起こすことがあり、悪性腫瘍との鑑別が必要になるケースもあります。粉瘤と脂肪腫はどちらも時間をかけて大きくなっていくことが多く、自然になくなることはなく治療には外科的切除が必要です。粉瘤は炎症や化膿を起こし、大きく腫れて痛みを起こすことがあり、その場合には抗生剤による治療や切開して膿を出す排膿を行います。こうした治療を行うことで炎症や化膿は解消できますが、粉瘤は残ってしまいます。数が多い、あるいはサイズが大きい場合を除き、粉瘤や脂肪腫は外来で受けられる日帰りの小手術による外科的切除で治療が可能です。局所麻酔を行いますので切除の際の痛みもほとんどありません。外科的切除を含め、粉瘤や脂肪腫の治療は保険適用されます。当院ではできるだけ痕を残さずにきれいに治るよう心がけた切除を行っています。
ほくろ
ほくろは後天性の色素性母斑であり、いくつかの種類に分けられます。やわらかいしこり状のほくろ、ドーム状のふくらみがあるほくろ、急激に大きくなるほくろ、手のひらや足裏にできるほくろなど、それぞれ特徴があります。進行が早く転移しやすい悪性黒色腫(メラノーマ)もほくろのように見えることがあり、悪性黒色腫の場合は命に関わる可能性もあるため疑わしい場合にはできるだけ早く皮膚科を受診して鑑別を受ける必要があります。足裏にできたほくろ、急激に大きくなるほくろがある場合には速やかに皮膚科を受診してください。当院では日本皮膚科学会認定皮膚科専門医がほくろのサイズや部位、状態を特殊なレンズ「ダーモスコピー」で診察して可能な治療法についてくわしくご説明しています。保険適用による治療が可能です。基本的に切開による切除と縫合を行っており、できるだけきれいに治るよう丁寧な処置を心がけています。