ほくろとは
医学的には後天性の色素性母斑と呼ばれます。生まれつきあるものではなく、成長過程で母斑細胞が皮膚や皮膚の下で増殖した状態がほくろです。後天性色素性母斑はいくつかの種類に分けられます。代表的なものには、Unna母斑、Miescher母斑、Spitz母斑、Clark母斑があります。
ほくろの症状
最も重要なのは悪性腫瘍ではないことの確認です。今までなかったほくろが急にできた、これまであったほくろが急激に大きくなってきた、足裏にほくろができた場合には速やかに皮膚科を受診してください。特殊なレンズ「ダーモスコピー」で患部を見て診断します。
良性の場合も、隆起を伴うほくろでは、服の繊維やアクセサリーが引っかかる、ヒゲを剃る際に邪魔になる、まぶたにあって視界やまばたきに支障を生じる、洗顔や入浴の際に爪などに引っかかって出血するなど、生活に支障を及ぼすこともあります。ほくろの切除は保険適用になります。
ほくろと似ている病気
皮膚線維腫
黒や褐色の硬いしこりのようなものができる皮膚腫瘍で、見た目がほくろとそっくりなことがありますが、ほくろとは異なります。手足にできることが多くなっています。虫刺されや傷などが原因になって生じることもあります。
神経線維腫
末梢神経から発生するとされている良性の皮膚腫瘍で、多発することもありますが、単発の場合にはMiescher母斑との鑑別が必要です。神経線維腫症I型のレックリングハウゼン病では、この神経線維腫が多発することがあります。
軟性線維腫
首やワキ、鼠径部などの摩擦部によく見られる、イボ状のやわらかいふくらみです。色は肌色から薄茶色であることが多くなっています。加齢や紫外線、摩擦などによって生じ、徐々に大きくなります。スキンタッグやアクロコルドンと呼ばれることもあります。
脂漏性角化症(老人性疣贅、イボ)
加齢と紫外線によって生じ、茶色い皮膚のシミが盛り上がってきるように見えます。紫外線が主な原因となりますので、顔など露出部にできやすい傾向があります。老化現象であり、60歳以上になればどなたにもできる可能性があります。
基底細胞がん
顔面にできる皮膚がんでは最も発症頻度が高くなっています。ほくろと似ています。数年かかって大きくなりますので、小さいうちに切除することが重要です。状態によっては、連携している高度医療機関をご紹介することもあります。
悪性黒色腫(メラノーマ)
進行が早く転移しやすい性質があり、放置してしまうと命に関わります。できるだけ早く発見して迅速に適切な治療を受けることが重要です。踵、おやゆびに発生することが多くなっています。足裏以外でも、突然ほくろができた、これまであったほくろが急激に大きくなった場合には、すぐに受診してください。疑わしい場合は速やかに連携高度医療機関をご紹介しています。
ほくろの治療法
当院では日本皮膚科学会認定皮膚科専門医が特殊なレンズ「ダーモスコピー」でほくろのサイズや部位、状態を診察して可能な治療法についてくわしくご説明し、最適な治療法を選んでいただけるようにしています。保険適用の有無や費用についてもしっかりお伝えしています。気になることがありましたら、お気軽にご質問ください。