湿疹・かぶれ
湿疹は皮膚に生じる炎症の総称です。その中でもかぶれは最も多い疾患で様々な原因物質によって生じます。原因物質を見つけ、ステロイド外用剤や抗アレルギー薬などによる治療を行います。アレルギーが原因で生じた場合には、アレルゲンを特定し、避けることが重要です。そのためアレルゲンを調べるパッチテストを行うこともあります。一般的に多いとされているアレルゲン21種を1回の検査で調べることもできます。
蕁麻疹
急な皮膚の盛り上がりが生じ強い痒みを感じます。ほとんどの場合は一定の時間が経過すると消えてしまいます。原因は多様で特定できないことが多いのですが、食事、体調、アレルギー性、機械的刺激や温度変化、日光などが関与することもあります。顔などのむくみを生じる血管浮腫も蕁麻疹の一種です。喉の粘膜に生じると呼吸困難を起こすこともあります。
当院ではバイオ製剤の注射薬ゾレア治療も承っております。
アトピー性皮膚炎
皮膚のバリア機能低下や遺伝的な要因などによって、様々な刺激反応やアレルギー反応を繰り返し生じる慢性の皮膚疾患です。幅広い世代に見られます。強いかゆみを伴うことが多く、生活の質を下げてしまいます。内服、外用薬で症状を改善させて皮膚をしっかり保護し、バリア機能を保つことが重要です。アレルゲンがわかっている場合には、該当するアレルゲンをできるだけ避けるよう注意してください。
にきび
皮脂で毛穴が詰まることで発症します。炎症や化膿を起こすとにきび痕が残ることもありますので、早めの皮膚科受診と適切な治療をお勧めしています。軽度のにきびの場合は、保険診療できれいに治すことができます。予防にはケミカルピーリングも効果的です。
乾癬
赤い発疹ができて、その上に白いフケ状のものが生じ、かさぶたなどの皮膚症状を起こす疾患で、遺伝的要因や環境的な要因が関与して発症します。改善と悪化を繰り返すため、症状を抑えて皮膚の良好な状態をできるだけ長く保つ治療を行います。近年になって安全な新しい内服薬や生物学的製剤など治療の選択肢が増えてきています。合わせて体調管理も重要です。
イボ、ウオノメ、巻き爪
ウイルス感染によるイボ(尋常性疣贅)は、保険適用される凍結療法、外用療法、内服療法での治療が可能です。たことウオノメは、圧迫や摩擦といった刺激を受けて皮膚が硬くなり生じるほか、ウオノメには深い芯があります。分厚くなった角質を除去する治療が有効です。巻き爪は爪の左右が皮膚に食い込んでいる状態で、陥入爪の左右の皮膚が炎症を起こす時は治療が必要です。
水虫・たむし
真菌(カビ)の一種である白癬菌によって生じます。足に発症した場合は水虫、足以外の場所に発症するとたむし、陰部に発症した場合はいんきんたむしと呼ばれます。家族内感染などを起こしやすいため、注意が必要です。水虫やたむしはかゆみが強いイメージがあると思いますが、かゆみがないものも多いため発見が遅れることがあります。
症状
水虫は、足指の間が白っぽくふやけたようになる趾間型、小さな水ぶくれができる小水疱型、皮膚が分厚くなって乾燥しひび割れを起こす角質増殖型に分けられます。小水疱型は強いかゆみを起こし、趾間型もかゆみがあります。また、足の爪に発症する爪白癬は、爪が白っぽくなって厚みが増し、もろくなることがありますが、かゆみがありません。
たむしは円形や楕円形、環状の発疹ができてかゆみを伴います。湿疹と間違えてステロイドによる治療を行うと悪化させてしまうことがありますので、注意が必要です。
診断・治療
表皮や爪を顕微鏡で観察し、糸状菌を直接確認して診断します。真菌培養が必要になるケースがあります。真菌は抗真菌薬による治療が有効であり、他の治療を行った場合には悪化することがあります。外用剤による治療が主に行われますが、角質増殖型、爪白癬、体の広範囲に及ぶたむしの場合、抗真菌剤の内服が必要になることもあります。
再燃や再発を防ぐためには、症状が治まってからも医師の指示を守って治療を続けることが重要です。なお、市販薬を使用してしまうと検査で正確な結果を得られず、治療に長期間かかってしまうことも珍しくありません。水虫やたむしが疑われる場合には皮膚科を受診して検査を受け、正確な診断の上で適切な治療を受けることが大切です。
虫刺され
虫に刺されると、腫れ、かゆみ、痛み、しこり、水ぶくれ、赤みなどを生じます。翌日以降にこうした強い症状が残ることや、当日は症状が軽くても翌日になって悪化するケースなど様々です。また、掻き壊してしまうことで細菌感染を起こし、それが広範囲に広がるとびひを発症することもあります。患部をきれいに治したい場合や、悪化してきた場合には早めに皮膚科を受診してください。
応急処置と治療について
すぐに流水でよく洗ってください。腫れている場合は触らずにできるだけ早く皮膚科を受診してください。マダニが皮膚についている場合は、自分で取ろうとしないでください。無理に取ろうとするとマダニの中の病原体が皮膚の中に入って感染するリスクが高くなります。マダニが媒介する感染症には命の危険につながるものもありますので、すぐに医療機関を受診しましょう。
虫刺されで受診された場合、皮膚科では患部の状態を観察して残っているものがないかを確かめ、炎症を短期間に鎮めるためにステロイド外用剤を処方しています。また腫れや痛み、かゆみが強い場合には抗アレルギー薬を、細菌感染が疑われる場合には抗生剤を併用した治療を行います。